[ 検査結果でわかること 16 ]
コレステロールが高い時 |
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日本臨床検査医会 岡部 紘明
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2002.07.01
血中コレステロールが高いという時は、蛋白と結合しているリポ蛋白コレステロールが高いことをいいます。リポ蛋白で重要なのは、LDL(低比重)―、HDL(高比重)―コレステロール(C)です。コレステロールは私達の身体の細胞の構成成分であり、ホルモンや胆汁の原料でもあります。
生体内でのコレステロールのバランスを図に示しましたが、コレステロールが高くなる原因には幾つかあります。主として、生まれつき高い人、又は食事によって高くなる人(遺伝性、家族性)と他に病気があって、その結果高くなる、二次性(又は続発性)高コレステロール血症があります。LDLもHDLもコレステロールを運ぶ重要な役割を担っていますが、LDL―Cが高くなると粥状動脈硬化が起きやすくなりますので、悪玉コレステロールといっています。血中総コレステロールの理想値は150〜199mg/dl位で、動脈硬化がこれ以上進展しない限界と考えられています。
日本動脈硬化学会では、総コレステロールが240mg/dl以上を高コレステロール血症と決めました。しかし、総コレステロールの内の多くがLDL―コレステロールで、また動脈硬化進展に直接反映していますので、LDL―Cが160mg/dl以上の場合も高コレステロール血症と診断することにしています。HDL―コレステロールは動脈硬化を防ぐ役割を持っていますので、善玉コレステロールといっていますが、総コレステロールやLDL―Cが正常でも、HDL―Cが40mg/dl以下の低い時は危険です。HDL―Cは生まれつきのCETP欠損症ではHDL―Cが100mg/dl以上となり日本人には多く見られます。この場合、抗動脈硬化作用があるかどうかハッキリしていません。
日本人の場合、総コレステロールの高くなる人(家族性高コレステロール血症などLDL―Cを受け取る部分に異常がある人)では、コレステロールの高い食事をしますと、500人に一人位の割合で血中濃度が350mg/dl以上に、100万人に一人位の割合で700mg/dl以上になる人がいます。血中のコレステロールが高くなると血管や組織の傷害を治すことが出来なくなり、血管の傷口に詰まり、血栓を作り、粥状になり動脈硬化が進みます。また、二次性高コレステロール血症には基礎疾患として肥満、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ、閉塞性肝疾患や治療薬剤によっては、コレステロールの働きに関係する蛋白や酵素に異常を起こし、血中コレステロールを高くすることがあります。総コレステロールが240mg/dl(LDL―C160mg/dl)以下でも、男性で45才以上、女性で55才以上になると、血清総コレステロールが増加して動脈硬化症になりやすく、動脈硬化の危険因子としての糖尿病、高血圧、喫煙など2〜3あると、200mg/dl(LDL―C120mg/dl以上でも)、4個又は心筋梗塞の病歴のある人では総コレステロール180mg/dl(LDL―C100mg/dlくらい)でも治療が必要になります。
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